平成12年5月31日 発行冊子より
[宗教ガイドライン]に対する見解
日本弁護士連合会意見書 「反社会的な宗教活動にかかわる消費者被害等救済の指針」の問題点
宗教法人問題連絡会編

目次

 はじめに

日本弁護士連絡会意見書:「反社会的な宗教活動にかかわる消費者被害等救済の指針」の問題点

T 総論
  一、「反社会的」宗教活動の判断基準の危険性
  二、宗教に対する無理解と偏見
  三、前提とする考え方の誤り

U 各論
  一、基準の定立に対する若干の危惧と疑問
  二、日弁連の意見書における判断基準の個別の問題

宗教法人問題連絡会とは

<資料>日本弁護士連絡会意見書:「反社会的な宗教活動にかかわる消費者被害等救済の指針」

 


 

はじめに

 日本弁護士連合会は1999年3月26日、「反社会的な宗教に関わる消費者被害等の救済の方針」と題する意見書を発表しました。日弁連では、オウム真理教や、霊感・霊視商法などの消費者被害や人権侵害についての相談を受けた弁護士が、どのように対処すべきかを提言したものと説明しています。しかし、宗教法人問題連絡会では、意見書の中核である「宗教的活動に関わる人権侵害についての判断基準」について、「宗教活動の是非の判断基準」として一人歩きしないかとの危惧を抱きました。
 日弁連の消費者問題対策委員会は96年2月、同委員会がまとめた報告書「宗教活動名目の各種資金獲得活動に関する実態と問題点」を元に、宗教界や学者から意見を聞こうと、「宗教活動と消費者問題」をテーマにシンポジウムを開催しました。このとき「宗教活動等についてのガイドライン」(試案)が「討議の材料として」提示されました。
 この「ガイドライン」は議論のためのたたき台で「あくまで試案」として提示されたものですが、「法律家が宗教のあり方を指導するのか」「問題の活動を正当な活動をどう分別するのか」などの疑問が投げかけられました。
 97年10月に「ガイドライン−宗教活動などがもたらす消費者問題や人権侵害への対処の指針」がまとめられました。しかし、「ガイドライン」では宗教活動のあり方を示したものとの誤解を与えるものではないかと、表題を「宗教的活動等に関わる人権侵害についての判断基準」とあらためました。それが今回「指針」として公表されたものです。また、その内容が「宗教トラブルの予防・救済の手引き」として出版されました。
 宗教法人問題連絡会では、99年の10月に同委員会が開いたこの問題をめぐるシンポジウムに「日弁連の意見書に対する疑問」とのリーフレットを作成。このたび、健全かつ自由な宗教活動が阻害されないために、この日弁連の意見書の問題点を抽出するために本冊子を発行するに至りました。
 宗教関係各位におかれましては、信教の自由の観点からも、この問題について論議を深めていただきたいと存じます。この冊子がご参考の一助となれば幸甚です。

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