平成12年5月31日 発行冊子より
[宗教ガイドライン]に対する見解
日本弁護士連合会意見書 「反社会的な宗教活動にかかわる消費者被害等救済の指針」の問題点
宗教法人問題連絡会編
目次・はじめにT−一T−二T−三U−一U−二│宗教法人問題連絡とは│資料

宗教法人問題連絡会とは

 宗教法人問題連絡会という集まりが始まったのは、1995年の宗教法人法の改正問題がきっかけである。当時、オウム真理教の事件をきっかけとして、宗教法人法の改正が、各マスコミで取りざたされ、自民党の「創価学会一公明党を締め上げるため」との思惑が絡み、宗教法人審議会での強引な報告書の取りまとめに始まり、短期間のうちに国会で成立されたのであった。
 憲法に定める「信教の自由」と「政教分離」の原則に深くかかわる「宗教法人法」が書くも十分な議論がなされないままに、改変されたことに危機感を感じた、宗教者、学者らによって情報の交換、意見交換のために定期的な会合を持とうという趣旨にもとづき、洗建・駒沢大学教授、安斎伸・上智大学名誉教授飯坂良明・学習院大学名誉教授、小林節・慶応大学教授、真田芳憲・中央大学教授らの呼びかけで発足したものである。
 1999年12月22日に開かれた第1回会合では、@宗教法人法の改正に伴う問題点について情報および意見の交換を行なう、A宗教に加えられる圧迫・干渉を監視していく、B宗教法人の社会的存在としてのあり方を研究する、C当面固定的な組織とせずに、ゆるやかな自由参加の連絡会として会合を開く、D宗教情報センターとしての役割を模索する、E幅広く宗教団体の参加を呼びかけていく  ことを申し合わせ、共同学習、相互学習をしていくこととした。
 宗教法人問題連絡会のさきがけとなったのは、「宗教法人法改正問題についての声明」である。文部大臣の諮問機関である宗教法人審議会は15人の委員によって構成されていた。そのうち11人の委員が宗教界からの委員であった。
 1995年9月29日、その年の4月、与謝野馨・文部大臣(当時)から「宗教法人制度のあり方」について諮問を受けていた宗教法人審議会は、上村正剛・真言宗智山派宗務総長、出居茂・修養団捧誠会副総裁、自柳誠一・カトリック枢機卿、杉谷義純・天台宗宗務総長、杉山一太郎・扶桑教管長、竹田眞・日本聖公会東京教区主教、カ久隆積・善隣教教主の、11人中7人の宗教関係委員の反対にもかかわらず、審議を打ち切り、会長一任を取り付けたとして、その日のうちに、島村宜伸・文部大臣(当時)に報告書を提出したのである。その日は、臨時国会開会の日であった。
 法人法改正の議論は国会の場に移ったが、この間題について日本宗教連盟で検討される動きが見られず、ことの推移を危惧した、審議会の報告書に異議を唱えた7人の委員、さらに、宗教法人法改正の問題点を指摘する学者が集い、「声明」を作成し、宗教団体および宗教者に賛同を呼びかけたのである。この声明には52の団体、33人の個人が賛同の署名を寄せている。

 宗教法人問題連絡会は現在、ほぼ2カ月に1回、会合を持ち、学習会を開催している。
これまでの学習会は次の通り。


1996年2月15日
政教分離について
 発題 洗建・駒沢大学教授、小林節・慶応大学教授
 コメント 飯坂良明・学習院大学名誉教授
霊感・霊視商法について
 澤藤統一郎・日本弁護士連合会消費者委員会副委員長
破防法の適用について
 小野毅・オウム真理教被害対策弁護団

1996年3月21日
日弁連報告書とガイドラインについて
  山口広・全国霊感商法対策弁護士連絡会
  澤藤統一郎・霊視商法被害者弁護団
  小野毅・オウム真理教被害対策弁護団

1996年4月16日
創価学会に問う
  八尋頼雄・創価学会副会長
  西口 浩・創価学会副会長

1996年5月17日
自由民主党の考えを開く
  与謝野馨・自民党政調会長代理

1996年6月25日
日宗連理事長に聞く
  亀谷荘司・日本キリスト教連合会委員長

1996年7月18日
憲法と宗教
  小林孝輔・青山学院大学名誉教授

1996年8月19日
宗教情報センター問題を考える
  阿部美哉・国学院大学教授

1996年9月19日
宗教界の情勢をどうみるか
  田丸徳善・大正大学教授

1996年10月11日
意見交換会

1996年11月20日
破防法問題を考える
  奥平康弘・国際基督教大学教授

1996年12月11日
意見交換会

1997年1月31日
意見交換会

1997年2月25日
新宗教の今日的状況
  井上順孝・国学院大学教授

1997年3月28日
意見交換会

1997年4月15日
オウム真理教事件以降の「新」宗教状況
  島薗進・東京大学教授

1997年9月17日
脳死・臓器移植法問題を考える
  藤井正雄・大正大学教授

1997年12月5日
宗教法人の税制を考える
  石村耕治・朝日大学教授

1998年3月3日
意見交換会

1998年4月14日
意見交換会

1998年6月26日
宗教活動と消費者問題
  山口広・弁護士

1998年8月6日
宗教情報リサーチセンターについて
  井上順孝・国際宗教研究所常任理事

1998年10月1日
国民総背番号制を考える
  石村耕治・朝日大学教授

1998年12月15日
組織犯罪防止三法案について考える
  鈴木達夫・弁護士

1999年3月5日
宗教法人法改正の意味を考える
  洗建・駒沢大学教授

1999年5月14日
政教分離
  小池健治・弁護士

1999年7月30日
日弁連の指針について
  山口広・弁護士

1999年9月13日
日弁連の指針について
  洗建・駒沢大学教授 安井牧爾・京都仏教会理事

1999年11月15日
最近のオウム真理教とその問題点
  小野毅・弁護士

2000年2月2日
最近の社会情勢と宗教法人
  参加者による持ち寄り発題

2000年4月4日
宗教法人法「改正」の5年
  カ久隆積・善隣教教主

前のページへ │ 次のページへ

ウィンドウを閉じる